2019年6月20日木曜日

二十六通目 2019年6月19日

Pさんへ

 返信、遅れました。今回は、Pさんがどこかでこの半年を振り返っていたような気がするので、僕もやってみようと思います。
 では、2019年上半期に読んだ本のなかで、印象的だったものをとりあえず10作上げて、なにかしら考えてみたいです。
 
①砂の女 安部公房  
②送り火 高橋弘希
③鳥打ちも夜更けには 金子薫
④ヤンの未来 ファン・ジョンウン
⑤ニューヨーク革命計画 アラン・ロブ=グリエ
⑥潮騒 三島由紀夫
⑦チャンドス卿の手紙 ホーフマンスタール
⑧二分間の冒険 岡田淳
⑨老人と海 アーネスト・ヘミングウェイ
⑩挑戦 フィリップ・ソレルス
(読了順)
 
 まえまえから基本的な読書をしようと標語のような目標を立ててやってきた節があります。ですからできるだけエキスパート向けの本(たとえば『死霊』『豊饒の海』『V.』など?)は避けて、というか先送りにしてきました。いつかは読んでみたいですが。それで去年からいままでに『城』や『カラマーゾフの兄弟』を途中で投げていたわけです。まあ、言い訳半分ですけど。
 前掲のリスト、それなりにバラエティに富んだ本を読めた気はします。しかし長篇・短篇・詩歌・評論・漫画などを含めてもこの半年41作読んだだけなので口惜しい限りではあります。なんせ「SF作家宣言」をしておきながら、ほとんどそれが進んでいない惨状に愕然とするばかりです。
 今年に入って意識的に音楽を聴くようになりました。それは村上春樹のラジオの影響だったり、ただ疲れやすくなっているので疲労回復のためだったりするわけなんですが、そのことにより書いている文章にも影響が出てきてしまいました。まあ、これは去年の夏頃には顕著な表れが出ているようにも思えますけどね。
 果たしてこの波及が吉と出るか凶と出るか。わかりませんね。とりあえず硬派な文芸誌には向かない文体になってきてしまったという自責の念があるにはありますが。やはり本を読まねば自分の文体を作ることは容易ではないですね。
 というわけで残り半年も基本的読書を継続していきたいわけですが、今年の年末から来年1月にかけて大西巨人『神聖喜劇1』を、来年初頭にはル・クレジオ『調書』、P・K・ディック『ヴァリス』の読書会を予定しています。というかそのまえにこの6月下旬に『百年の孤独』の後半を読み、夏にはベケット『モロイ』、シモン『路面電車』のリアル読書会があるわけで、これでは基本を優に越えて応用編にいつのまにか移っているようです。あくまで自然にスムーズに…… と思いたいところですね(予定通り行くといいです。)

松原
 

0 件のコメント:

コメントを投稿