2019年1月21日月曜日

一通目 2019年1月21日

松原礼二さんへ

 こんにちは。東京の書店巡りを終えての新幹線の乗り心地は如何でしょうか。東京はこの二日間たいへんに良い気候に恵まれて、良かったですね。道中内輪差などにお気を付けてお帰り下さい。新幹線に乗っていると、地域ごとの気候があまりに違うことに驚かされますね。先日名古屋に向かったときに、途中で雨に打たれたと思ったら、また晴れ渡るなど、晴れている空が一番感じられるのは少し空に雲が差したときです。養老天命反転地に赴いたときも、急に雪が降り始めました。あそこは山に面しているから、平坦な急斜面(?)に接しているというのも新鮮でした。ミトコンドリアに似た断面を持つコンクリートの中に日常的なバスタブやら黒電話風の電話などが埋め込まれている、あるいは新しい展開された(爆縮した)地図がミクロ化した山肌に縫い付けられているといった有様でした。明日には休園(?)するという日に見に行けて幸いでした。岐阜を中心とした中部地方にはやはり何か纏い付いているのでしょうか。老人ホームでは、よく人が亡くなる部屋やフロアなどが「呪われている」という言い方を日常的にします。塩を撒こうか! などという冗談まで飛び交いますが、それだけ死と生の圧迫がなければ、何というか、存在も存在を始めないのではないかという気もします。いわゆるビッグバンの起こる前も、そういった死や生などととても結びつけがたい或るもので充満していたのでしょう。荒川修作の体内にも気焔みたいなものが渦巻いていたのでしょうか。ソクラテス以前の哲学者の間では四元素のいずれが真の物質の起源であるのか、論じられていました。人間の体内には空気的なものと液体的なものと油的なものが循環しているとした中国独自の医学も、解釈の仕様によっては正しかったといえます。しかし、誰が正しいとか正しくないとか判断するのか? 『陶陶酒』は効きますよ。試してみて下さい。気温が低い日が続きます。是非ご自愛下さいませ。

 追伸、 『ボヴァリー夫人』は読みましたか? 『サント・ブーヴに反論する』の話などもしましたが、やはりグーグルマップの誤作動が一番楽しいのではないかという気もします。『新しい小説のために』が復刊してくれれば良いのですが。『盗聴されたヨコシマ』の斡旋、ありがとうございます。『西洋哲学の知 I ギリシア哲学』白水社です。もとは洋書の中世スコラ派までくらいをカヴァーした長篇哲学史のシリーズの一部のようです。フランソワ・シャトレは何気にドゥルーズとも繋がりがあったそうです、偶然ですが。レヴィナスの読書会はいつにしましょうか。『全体性と無限』か、『実存から実存者へ』のどちらかでしょうか。

Pさん

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